煩いHoney
「ちょっ、いらないよそんなの、汚いな」
「だったらはじめから無理なこと言うなよ。俺の母ちゃんも今のと同じこと言うんだ。女ってそういう揚げ足取るの好きだよな」
……全然改心しない。
それどころかまんまと舌鋒に負けて、悔しいを通り越してむなしくなってくる。
わたしってあんたのなんなのよ。
体のいい召使いじゃないっての!
「んじゃ俺部室戻って着替えなきゃだからよ。日誌できてんだろ? どこ? 俺、途中で職員室に寄って――」
何のてらいもなく女子の机を覗き込む男の腕をつかんだ。汗で張りついた土埃が乾いてざらざらした。
「ん?」
「ちょっと、顔、貸しなさいよ」