煩いHoney
そう言って、ない力を振り絞って強引に引き寄せる。
そして――
「!」
そしてわたしは、やつの、唇を、奪った。
はじめてのそれは、土の味がした。
突然のことに硬直するやつよりも、動揺している悔しさをもう隠しはしなかった。どのみちできそうになった。
「これで、チャラにしてあげる。……だから」
わななく唇。声もおかしい。顔もきっと真っ赤になってる。
恥ずかしい。
でももうどうすることもできない。取り返しはつかないのだ。
だったらこれでいい。
わたしはもう、一回だって、こいつの、都合のいいやつでいたくはない。