煩いHoney
夕日の差す教室で、ひとり日誌を書いている。
季節はとっくに夏なのに、田んぼに水が入ると気温が下がるっていうのは本当で、梅雨を目前にして窓から流れ込む風はおどろくほどスッとする。
身ぶるいをした途端、鼻がゆるんで、慌ててティッシュで押さえつけた。
窓を閉めに席を立つ。
とっくに下校時間は過ぎている。
先ほどまで聞こえていた賑やかな声もずいぶん小さくなった。そう思いながら窓へと近づけば案の定グラウンドの景色も一変し、校舎のチャイムに急きたてられた生徒が部室を目指して走っていく。
その中に、あいつもいた。
日直のくせに、部活を優先しやがった。
ふざけたやつ。
なんですかあのはつらつとした笑顔。
誰だよ、朝、「日誌は俺が書くから、代わりに黒板消すの頼むな」って言ったやつ。
結局、全部やったのわたしなんですけど。