煩いHoney

「……部室にないの、ティッシュくらい」

「あっけどトイレットペーパーなんだよ」

「? だったらそれを使えばいいじゃない」

「俺のポリシーに反する」

「はあ?」


わたしがあげたやつをあんたじゃない誰かが使うのもわたしのポリシーに反するんだけど。


「男のくせに」

「しまったって焦ったとき、とっさに滝井のことを思い出したんだよ」


わたしの偏見など意に介さず、丸めたティッシュで鼻をごしごし擦るようにしながらやつは屈託ない笑顔でそう言った。


(そんなこと)


……そんなことを臆面もなく言われれば悪い気はしないのは間違いないし、まんざらでもないのか? なんて期待に、続く言葉を見失う。


「柿谷が持ってるかなぁっても思ったんだけどさ、なんかほら……悪いじゃん?」

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