嘘つきな私。
カキーーーーッン


雲ひとつない青空に

放物線を描いて 打球が飛んでいく




「は、はいった」


「美月、走れー!」


麻耶の声で私は走り出す


こんなにも気持ちのいい日は

久しぶりだ



「「いぇーい!」」


「美月ちゃんナイスバッティング」


ホームインした私に

皆が声をかけてくれる


そんな時だった



「あ、流星くんやー!」


「流星遅いわ、はよ用意せー!」



グランドに入って来た


高校生くらいのお兄さん



へぇー、若い人も結構来てるんやぁ…


ん?流星…


「流星くん!?」


慌てて大きい声を出す私に

クスクスと笑う麻耶


「あれ?言わんかったっけ?」




そして…


私に気づいたのかこっちを見て


遠くで笑っている流星くんの姿




「腹立つわー」


ボソッと呟けば なんか言った?

と聞いてくる麻耶



「めっちゃ野球上手いねんで!」


「誰が?」


「流星くんやん!
おばちゃんらに大人気やで」



「ふーん」






この時の私はまだ

気づいてなかった



こんな未来 誰が予想できたやろう?


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