手が届く場所

カーテンの隙間から差す陽の光が、眩しく俺を照らし出し、
反射的に開きかけた瞼を閉じる。


…あ、良い感じに寝れそう。


その光がいやに心地よく、
そのまま夢の中へと引きずり込まれそうな感覚に陥った。

満たしきれない睡眠欲求を満たそうと、俺は起きかけた脳をまた睡眠モードへと戻す。

眩しさから逃れる為に頭の向きを変えて、
そっと息を吐き出す。

これで、良い感じに眠れそう。



と思っても、現実はそれほど甘くはない。


カチャリ、と誰かがドアノブを回す音。
聞きたくない、聞こえない。
言い聞かせようとも、そんなものに効果があるはずもなく、


「いつまで寝てんの、クソ兄ちゃん。」



厳しい弟からの、お怒りと酷い言葉を頂いた。

いやね、いくら何でも"クソ"はないと思う。
うん、"クソ"はない。

俺は仕方なく、少し重く感じる体を起こして目を開けた。

「起きるよ…。
ってか、その言葉遣いを直せ。」

どんなに寝てた俺が悪かったとしても、
"クソ"って言われる筋合いはない。

根にもつね、って言われても否定は絶対しない。

あぁ、根に持つさ。
だって傷ついたもん。
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