手が届く場所
そのまま自転車を置きに通り過ぎて行ったのを見送り
俺は変わらずロッカーへと目指す。


朝というのは、通常そこまでハードに動けるものでもなく
テクテク歩くだけなのだが、

後ろから、バタバタと元気な足音が聞こえてくる。


「おっす!!」

「おはよう。」


軽く笑って返すと、
それよりも嬉しそうに笑う、我がクラスメイト

大場純平ーJunpei/Oobaー


「なんだよ、眠そうだなっ!」

「そうでもないよ?」


というか、お前が元気過ぎるんだと思ってもあえて口にはしない。

そんな他愛ない挨拶をしていると、
唐突に切り出される彼等の話。


「なぁなぁ、知ってるか?
最近、蒼龍が姫を作ったって話。」

「蒼龍が?」


目をキラキラと輝かせ、
楽しそうに口を開く大場。


その予想外の言葉には、思わず俺も目を見開いた。


姫をつくる、ということはつまり
"自分達を危険に晒す"ということ。


懸命な"蒼龍"総長の判断には思えない。


俺は半信半疑のまま教室へと向かい、
そっと真偽を考える。


が、その答えは直ぐに分かる事になった。
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