誰よりも大切なひとだから。



……不覚にも、ワンテンポ遅れた。


「……いや、おらんよ?」


「じゃ!好きな子できたんや!!」


え?え!?


なぜ、バレた!?
言ってないよ?誰にも長野くんのこと言ってないよ!?


「……おらんよ?そんな人」


こっちを見て、無垢な笑顔を向けられたらさ。


嘘ついたのがちょっと、心苦しくなるから、やめよ?


その笑顔、強力な武器よね??
自覚あります?


「えー!おらんの?絶対いてるやろ??」


「いや、おらんて」


「えーえー」


なんか……不満そう。


「なんで?そんなこと思ったん?」


「だってさ!彩芽さん、可愛くなったもん!」


「……はい!?」


「いや、可愛いというより、美しくなった?のほうが適切か」


うんうん、と一人頷いて納得、しやんとって!?


「その髪型似合ってるよ?頑張ってね!」


次の時間の教科書を持って、スタスタと行ってしまった。


ち、ち、ちぃちゃぁーん!?


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