誰よりも大切なひとだから。
私のつれない返事に口を尖らせて、話の矛先は長野くんに向いた。
「長野こそ、彼女作れや」
「いや、無理です」
その返事の早いこと早いこと。
ガーンとショック受けてるのは、私だけ?
告白前からあっさり玉砕してる気がするのは私だけ!?
「そもそも相手いませんし」
と、長野くんは苦笑する。
「えー!絶対長野くんのこと好きな人おるって!」
突然話題に入ってきた松本さんの言葉にピクッと反応する。
……まさか、バレてませんよね?
「だって、長野くん。男女問わず、無条件に優しいやん!!」
力説する松本さん。
そうだよね?松本さんもそう思う??
無条件の優しさ。
私が彼を好きになった理由のひとつ。
「さては、松本。お前は長野のこと……」
意味深に微笑んだ東先生に、カラカラと笑って応える松本さん。
「そんなんちゃうよ!あたし、彼氏いてるもん!!」
「あやしい……」
「あやしくない!あたし、彼氏と付き合ってもう5年やで!!」
東先生と松本さんのやり取りに、苦笑いみたいな困った笑いをしている長野くんを盗み見ながら、私も笑った。
……けど、ちゃんと笑えていたかは、甚だ疑わしい。
"彼女作れや"のあとの返事の速さが喉元につっかえていた。