誰よりも大切なひとだから。



ホワイトクリスマスならぬ
"ホワイトバレンタイン"だ。


そう。今日はバレンタインなのだ。


ラブレターなんて柄にもなく書いてしまったから、雪が降ってしまったのだろうか。


風が吹き、雪が舞う。


手のひらを差し出すと、雪の結晶が手の上で音もなく消えた。


……いよいよ、だな。


冷たい空気を胸に吸い込み、覚悟を決めた。


これで、長野くんとの関係が終わるかもしれない。


あわよくば、彼と恋人同士になれるかもしれない。


どちらになるかは、彼の返事次第。


たけど決めた。


『長野くんの気持ちを一番に尊重する』


そして、彼が傷つかない道を一番に選ぶ、と。


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