誰よりも大切なひとだから。
グラウンドが一面の白。
花壇の隅に積もった雪を真由美ちゃんは手ですくって、おにぎりを作るみたいにぎゅと力をこめた。
その頬には、嬉しそうな微笑み。
私もその隣に立つと、雪が落ちてくる。
天からの贈り物は、私の髪も肩も濡らした。
黒いコートがまだら模様になる。
「雪だるま~♪」
「あ。可愛い」
真由美ちゃんが手のひらサイズの雪だるまを作った。
二人で雪の中を駆ける。
私は童心に返ったかのように、ふざけた。
なるようになればいい、そんな小さなヤケが私が高校生であることを忘れさせた。