誰よりも大切なひとだから。



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昼休み。
食事を終えて、廊下でロッカーの中から物理の教科書を取り出す。


次の時間が物理なのだ。
ま、たぶん、寝るけど。


授業始まるまで、数学でもしとこう。


この間の模試では色々とやらかしてしまったから。


うん。そうしよう。


と、一歩踏み出したところ、ちょうど向こうからやって来た長野くんが来た。


彼は私の存在を認めた途端、何かを話したそうに口を開けたが、私は何も聞く前に教室の扉を開けた。


振り返ると、タイミングを逃し、不完全燃焼したような目をした彼がいた。


いつも目が合えば、普通に話せるけど、今日は勘弁してほしい。


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