誰よりも大切なひとだから。
長野くんは感謝の言葉が言えて、満足したように自分の席に帰っていった。
その刹那、視線を感じて凍りつく。
さっきまで長野くんの背中に隠れていたのだ。
椅子に座ったクラスメイトは、私を驚愕の目で見つめている。
その強い視線は、一度長野くんに移され、再び私に戻ってきた。
『近藤が……長野にチョコ!?』
目がそう訴えている。
思えば、私は義理チョコすら男友達にあげたことないのだ。
そんな私が長野くんにチョコ。
長野くんは特別だと言っているもんだ。
私はいたたまれなくなって、俯いた。