誰よりも大切なひとだから。



*.**.**.*


鼓動はここまで速く刻めるものなんだ、と初めて知った。


何やかんやで10時半。
今日の夕飯はほとんど喉を通らなかったから、無理矢理、麦茶で流し込んだ。


私は自室のベッドに寝転びながら、スマホを開く。


優希からラインが届いていた。


先程、長野くんからラインが届いた旨を連絡したからだ。


『いよいよだね』


優希からのラインに返信を返す。


『電話なんて緊張するよ』


思えば私は、友人と電話など滅多にしないのだ。


会って返事を聞くことにためらいもあったし、ラインの文章で返事をくれたら顔を合わせなくていいかな、と思ったんだけど……。


電話でくるとはね。
真面目な長野くんらしいと言えば、らしいんだけど。


『電話が終わったら、私に教えてな。長野くんの返事』


『言われなくても、ちゃんとする。フラレたら慰めてな!』


『うん。でも私は恋が叶うことを願ってるよ!』


ありがとう、という言葉を打とうとしたら、新たなラインが届いた。


長野くんから。
『そろそろいいかな?』


ラインに既読をつけないで読むと、私は優希に送った。


『長野くんから、ライン来てるよー( ;∀;)』


『ファイト。ちゃんと向き合っておいで』


唇を噛み締める。
もうさっきから血が出るくらいに噛みしめている。


どんな返事も受け入れる。
そう覚悟したもんね。


『わかった。電話してくるね』


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