誰よりも大切なひとだから。
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鼓動はここまで速く刻めるものなんだ、と初めて知った。
何やかんやで10時半。
今日の夕飯はほとんど喉を通らなかったから、無理矢理、麦茶で流し込んだ。
私は自室のベッドに寝転びながら、スマホを開く。
優希からラインが届いていた。
先程、長野くんからラインが届いた旨を連絡したからだ。
『いよいよだね』
優希からのラインに返信を返す。
『電話なんて緊張するよ』
思えば私は、友人と電話など滅多にしないのだ。
会って返事を聞くことにためらいもあったし、ラインの文章で返事をくれたら顔を合わせなくていいかな、と思ったんだけど……。
電話でくるとはね。
真面目な長野くんらしいと言えば、らしいんだけど。
『電話が終わったら、私に教えてな。長野くんの返事』
『言われなくても、ちゃんとする。フラレたら慰めてな!』
『うん。でも私は恋が叶うことを願ってるよ!』
ありがとう、という言葉を打とうとしたら、新たなラインが届いた。
長野くんから。
『そろそろいいかな?』
ラインに既読をつけないで読むと、私は優希に送った。
『長野くんから、ライン来てるよー( ;∀;)』
『ファイト。ちゃんと向き合っておいで』
唇を噛み締める。
もうさっきから血が出るくらいに噛みしめている。
どんな返事も受け入れる。
そう覚悟したもんね。
『わかった。電話してくるね』