誰よりも大切なひとだから。
初めて来る街に、ウキウキしてしまう。
東先生の暮らす街は、駅前の方は建物やお店が沢山あったが、15分くらい歩き続けると、段々、田畑などが増え始めた。
「それにしてもええ天気や」
冬の天気にしては珍しく、澄んだ青空が広がっている。
私の暮らす街とは違い、高い建物がないから、とても空が広く見えた。
徒歩の私たちに合わせて、ものすごくスローなスピードでバイクに乗る東先生がそう言うのもわからなくはない。
「ですね。晴れてよかったです」
男子の一人がそう言うと、先生の目の色が変わる。
「誰が、ハゲてよかったやと!?」
「言ってませんて。先生」
……頭部に嘆く先生と生徒の掛け合いは、もう挨拶みたいなものである。
これは、笑い飛ばすに限るのです。