誰よりも大切なひとだから。



〈直接伝えるのに勇気がいるなら、手紙書けばいいじゃん?〉


……手紙。
ラブレターってことですよね??


〈1ヶ月後はバレンタインでしょ?チョコと一緒に渡すんだよ〉


〈……チョコ〉


〈朝イチで行って靴箱の中に入れとくんだよ~!少女マンガとかよくあるでしょ?〉


〈……あれ、いつも思うけど、チョコが上履きの匂いで臭くなりそうでやだ。土まみれのチョコもやだ〉


〈じゃ、机の中に〉


〈……なんかさ、告白する前提で話すすんでない?〉


〈すすんでるよ?〉


あっさりと返事が返ってきた。
私、告白するなんて1言も言ってないけど。


〈告白しなって!高校での思い出作りじゃん〉


……思い出作り。


確かに、クラスでの仲の良いカップル見てたら、うらやましいな、とか思うし。


東先生と里ちゃん夫婦を見てたら、あんな幸せもあるんだな、って思う。


だけど、なんか、私に恋とかしっくりこない。


〈じゃあもし告白しないなら、諦めるの?〉


優希はふと、話を変えた。


〈諦めるよ〉


今度はすぐに返事を返せた。


諦める。諦められる。
だって、今までずっとそうしてこれたから。



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