誰よりも大切なひとだから。



*.**.**.*


「明けましておめでとう!みんなー!会いたかったぞ!!」


無駄にテンションが高いこの人は、お決まりの東先生である。


「もう、冬休みとか、暇すぎて暇すぎて!生徒に会われへんとか、拷問や!!寂しすぎて、おっちゃん死んでまう!夏休みも冬休みも春休みも要らん!!!」


「先生ー!休みないのは、困る」


東先生の言葉にクラス中がブーイングである。


そのブーイングの嵐など、東先生は涼しい顔で聞き流している。


冬休み、よっぽど、暇だったんだろう。
東先生。


休みの間に、何回私のスマホと家の電話に電話がかかってきたことか……。


「さーて。新年も始まったことやし、席替えしよか」


「おー!しよしよ!!この席いやや!」


「えー!しやんでいい!俺後ろで充分」


東先生の言葉に、一番前に座る男子は賛成し、一番後ろに座る男子は反対した。


私からしたら、反対だ。
長野くんと離れ離れは勘弁して!


「はい、じゃ。新井と伊澤ジャンケンして、どっちから選ぶか決めろ」


私の本音なんて、知るはずなく、東先生はさっさと席替えを進めようとする。


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