誰よりも大切なひとだから。
あ、でも新井さんが勝ってくれたら、近くになれる可能性はある!
うちのクラスの席替えは、あみだくじなのだが、そのくじにつけられた数字は1から順にきっちり書かれていて、全くランダムになっていない。
机の番号も前から順に数字がふられていて、ランダムになっていないから、名前の前後がきっちり机の前後になる。
実に面倒くさがりの東先生らしい席替えのおかげで、私たちのクラスメイトはいつでも、仲の良い友達が前後に集まる。
つまり、新井さんがジャンケンに勝ってくれたら、順番的に長野くんが、私より先に名前を書いてくれる。
だから、私はその前後に名前を書けば確実に彼と近くの席になれるのだ。
運命のジャンケン。
「最初はグー。ジャンケン……」
ポイっ!
「じゃ、伊澤から」
席替え用の紙を東先生は伊澤さんに渡した。
ジャンケンで、勝ったのは、伊澤さんのほうだった。