誰よりも大切なひとだから。



しばらくすると、長野くんにも席替えの紙は回ってきて、彼は無関心そうに、適当に名前を書いて前の席の人に渡した。


その後、トントン拍子で紙は回され、最後の人が書くと、それは東先生の手に戻った。


「よし、席発表するな」


先生は黒板に座席を見立てた線を書く。
その座席に、後ろから順に番号をふった。


すると、チョークと紙を生徒のほうに向ける。


「老眼で文字が見えんから、学級委員二人でやれ!」


どこまでも適当な先生である。


「うっし!やったろ!」


いつでもテンションの高い学級委員男子が教壇に立ち、チョークを持った。


その横で少し面倒臭そうに学級委員女子が、紙と黒板をにらめっこ。


「1番、松本」


「まつもっちゃん!一部後ろ。ええなー!」


松本くんは嬉しそうに飛び跳ねた。


それを見て、東先生は苦笑。


「お前。そんな後ろで勉強できんのかよ。 こないだの試験欠点9つ取ってて、補習三昧やったやんけ」


その言葉に、クラス中が笑ったが、私てしては今はそれどころじゃない。


長野くんの座席のほうが気になる!!


松本くんの成績とか知らへんー!!



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