誰よりも大切なひとだから。
剣道の時間である。
それは、私にとっても、楽しみの時間だ。
「彩芽なんで、じっと立ってられるん!?」
ジタバタして寒さから逃れようとする真由美ちゃん。
毒舌かつめっちゃ気の強い真由美ちゃんだが、やることはいつも可愛い。
「まぁ、和太鼓部は常に裸足やしね。冬でも」
なぜって?
私の所属する和太鼓部は、立ちながら演奏をするとき、脚を大きく開いて、腰を落とす。
そのため、どうしても足で踏ん張ることが増えてしまい、靴下や上履きのままだと、フローリングの床はズルリと滑るのだ。
だから、裸足で練習する。
本番はまぁ、衣装によって、裸足でしたり、足袋を履いたりするんだけどね。