誰よりも大切なひとだから。



……すみません。
男性の免疫ゼロで。


慌てて後ろに下がったら、机に頭をガツン!!


……あ、あほすぎる。


「ご、ごめんなさい」


ぶつけた机のひとに謝る。


ヒリヒリする頭を自分で擦る。


……情けない。


好きなひとの顔が、半径3センチ以内に入るだけで、この慌てようとか。


「……大丈夫?近藤さん」


「……大丈夫、です」


長野くんに苦笑いされた。


めっちゃ、恥ずかしいのを隠すべく、へへへ……と照れ笑いをしておく。


「ごめん。教えるわ」


さっきより少し大きめの声で、半径5センチは最低距離を保って、解説開始。


「あ、なるほど。わかった。答え、dのthatや」


「正解」


うん。問題の解き方は分かってくれたけど。


恥ずかしい。


私はお役御免と立ち上がり、他にヘルプが欲しそうな人のもとへ駆けていった。


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