キミ色の夏
これって、やっぱり無視されてるってことなのかな……。
それとも、ただ単にメールに気付いてないだけ?
……わからない。
わからないけど、これ以上連絡するのはなんだか怖い……。
面倒な女だって思われたらイヤだし、
こうやってしつこい部分が嫌いなのかも……って思ったら、メールなんて出来ない。
だから私はただただ、返事が来るのを待つだけ……。
「剛くん……」
剛くんと過ごしてきた日々を思い出したら、
また涙が溢れ出してきた。
「……なんで、こんなことになっちゃったんだろう……」
ずっと笑い合ってきたのに。
ずっとずっと一緒だったのに。
「剛くんの居ない毎日なんて、生きていたくないよ……」
と、そう呟いた時。
「……っ……」
トボトボと歩いていた私の横を、
サーッと自転車が通り過ぎていった。
薄暗いのに、その自転車はライトをつけていなかったみたい。
それに、水の張った田んぼに居るカエルの大合唱のせいで、
私は自転車が近づいてくるのにもまったく気付いていなかった。
私の独り言……聞こえてない、よね?
もしも聞かれていたら……と考えたら、なんだか急に恥ずかしくなってきた。
「……」
ドキドキしながら、通り過ぎていった自転車の人の背中を目で追う。
って、え。
な、なんで止まるの……?
え、え?
しかも、こっちを振り返って見てる……!?