キミ色の夏


ひんやりとしたハンカチが、優しく優しく頬に触れている。



「……大丈夫か?」

「うん、少しベタベタするけど……でも大丈夫」

「そうじゃなくて」


「え?」



真っ直ぐで、真剣な瞳。

花火大会で はぐれてしまったことを謝った時と、同じ瞳だ……。



「赤くなってる。 痛いだろ?」



……そうだ、私……剛くんに2回叩かれたんだ。


それを思い出した時に、

ハンカチが触れている頬がジンジンと痛み出した。



「ごめんな……もっと早く来たかったんだけど、間に合わなかった」

「……ううん、来てくれてありがとう……ごめんね、柚希くん」

「馬鹿、お前が謝る必要なんかねぇだろ」


「あるよ。 だって私は、何も言わずに家を出たから……剛くんのところに、行ってしまったから……」



……全部 私のせい。

剛くんのところに行こう。なんて思わなければ、こんなことにならなかったもん……。

本当に私、どうかしてたよ……。



「ごめんね、柚希くん。 瑞希くんも、ごめんなさい……」


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