キミ色の夏


胸がズキズキと痛くなり、頬っぺたもジンジンと痛い。

涙もいっぱい溢れてきて、もう、グチャグチャだ。



「本当に……ごめんなさい……」

「いいよ。 もういいから」

「あっ……」



柚希くんの手が、直接 頬っぺたに触れる。



「もう大丈夫だから」



優しい声が響いた時に見た柚希くんは、

とても愛しそうに私を見ていた。






「帰ろう。 シャワー浴びて、服 着替えて、それから ちゃんと話そう」



その言葉のあと、

そっと抱きしめられる。


私の体も服も、全部濡れてしまっているのに。

それでも柚希くんは、私のことを抱きしめてくれた。


だから私も柚希くんのことを抱きしめ返す。


ギュッと、強く、強く。

もう決して離れないようにと、願いを込めて……。


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