キミ色の夏
………
……
…
その後、私たちは公園のトイレを出た。
「大丈夫か、柳井」
「ん……なんとか、大丈夫」
柚希くんに肩を借り、片足を浮かせながらゆっくりと歩いていく。
さっき剛くんに無理矢理 連れていかれた時、私は足を捻ってしまっていたらしい。
立つまでは全然気付かなかったけど、立ったら激痛……。
肩を借りながらなんとか外まで来たけれど、
暑い中この状態で家にまで行くって考えると、それだけで頭が痛くなってくるよ……。
「兄貴、杉田のことは俺が送り届けてくるよ。 トイレの中に放置して死なれたら困るし」
「……そいつは死んだ方がマシじゃね?」
「そりゃそうだけど。 でもここで死なれたら俺たち捕まるよ? こんな奴のために捕まりたくないし」
「あぁー、それもそうだな。 じゃあ任せるよ」
「うん。 目が覚めたらテキトーに絞めとく」
「首を?」
「なんでだよ」
楽しそうに笑う瑞希くん。
柚希くんも楽しそうで、なんだか私も楽しくなってきた。
……ま、二人の言葉は全然楽しくないんだけどね。
「じゃあ俺、夕方まで帰らないから。 柳井、またね」
ひらひらと手を振った瑞希くんは、
私と柚希くんを交互に見たあとに剛くんの体を引きずりながら歩いていった。