キミ色の夏


今だってそう。

歩けなくなってしまった私のことをおんぶして、暑い中 歩いてくれてる。


……私、いっぱいいっぱい迷惑かけちゃってるや。



「ね、柚希くん」

「んー?」

「色々と、ありがとう」


「なんだよ、急にどうした?」

「うん……なんとなく、お礼が言いたかったの」



今日のことはもちろんだし、花火大会の時だってそう。


柚希くんは何も言わないけど、

私、きっといっぱい迷惑かけちゃってる。


……思い返していけば、私は出会った時から迷惑をかけてる。


初めて会った時はいっぱい泣いていて、

そんな私に柚希くんはスポーツドリンクをくれた。


次に会った時もまた、私は泣いていて……、

その時の柚希くんは、私の話をしっかりと聞いてくれた。


そのあともずっとずっと。

メールで話してる時も、電話で喋ってる時も。


いつだって柚希くんは、

私の話をいっぱいっぱい聞いてくれていた。


ずっとずっと、そばに居てくれた。



「……ありがとう、柚希くん」



ギュッと、柚希くんの体を抱きしめる。


私、

やっぱり柚希くんが好き。


ずっと一緒に居たいって思うのは、柚希くんだ。


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