キミ色の夏


……また飲みかけ。

柚希くんにもらうペットボトルは、大体が飲みかけだ。


でも、なんだかそれが柚希くんらしいかも。



「……いただきまーす」



私以外は誰も居ない部屋で小さく言って、スポーツドリンクを口に含む。


甘さの中にある、ほんの少しの酸味。

ひんやりとした液体が喉を通りすぎ、胃へと向かっていくのがわかる。



「……柚希くんの影響かな。 最近、すっごく好きだ」



ふとした時に飲みたくなって、

買い物に行くと ついつい買ってしまう商品。


飲みすぎはよくないと思うけど、それでも飲んでしまう。

……前はそんなことなかったのに、絶対に柚希くんの影響だ。



「美味しいな……凄く凄く、美味しい……」



柚希くんとの思い出の味。

柚希くんと一緒に居る時はいつも、このペットボトルも一緒だった。


ブルーのラベルのペットボトル。

私の、大好きな味。



「……これからも、一緒に飲みたいな……」



柚希くんと一緒に。

ずっとずっと、二人で一緒に……。


そんな風に思いながら、静かにソファーへと腰を下ろした。


< 111 / 144 >

この作品をシェア

pagetop