キミ色の夏
……また飲みかけ。
柚希くんにもらうペットボトルは、大体が飲みかけだ。
でも、なんだかそれが柚希くんらしいかも。
「……いただきまーす」
私以外は誰も居ない部屋で小さく言って、スポーツドリンクを口に含む。
甘さの中にある、ほんの少しの酸味。
ひんやりとした液体が喉を通りすぎ、胃へと向かっていくのがわかる。
「……柚希くんの影響かな。 最近、すっごく好きだ」
ふとした時に飲みたくなって、
買い物に行くと ついつい買ってしまう商品。
飲みすぎはよくないと思うけど、それでも飲んでしまう。
……前はそんなことなかったのに、絶対に柚希くんの影響だ。
「美味しいな……凄く凄く、美味しい……」
柚希くんとの思い出の味。
柚希くんと一緒に居る時はいつも、このペットボトルも一緒だった。
ブルーのラベルのペットボトル。
私の、大好きな味。
「……これからも、一緒に飲みたいな……」
柚希くんと一緒に。
ずっとずっと、二人で一緒に……。
そんな風に思いながら、静かにソファーへと腰を下ろした。