キミ色の夏


………

……




それからどれくらい経っただろう。


ふと気付いた時、私はソファーの上で横になっていた。

体には大きなタオルがかけられている。



「あ、れ……?」

「起きたか」

「……柚希くん?」


「うん、俺ですよ?」

「……っ……ごめんっ、私 寝ちゃってた……!?」



目の前に見えた柚希くんの顔を見て、すぐに思い出した。

ここは柚希くんの家……。


なのに私、寝ちゃってたんだ……。



「どのくらい寝てた!?」

「20分くらいかな。 色々疲れたんだろ、もう少し寝てろよ」

「だ、大丈夫っ……もう平気だからっ……」



私、20分も寝てたんだ。

しかも、すぐ近くには柚希くん……。


絶対 寝顔見られてた……よね?




「あ、の……柚希くん」

「ん?」

「……私、よだれ垂らしてなかった……?」


「大丈夫だよ」

「……ほんと?」

「うん」



優しく、ポンポン と頭を叩かれる。

柚希くんの表情もまた、凄く優しいものだった。






「可愛いよ」

「へっ……?」

「寝顔、すげー可愛かった」


「……っ……」



やっぱり見られてたんだっ。

しかも可愛いって……そんなわけ、絶対にないのにっ……!!



「じょ、冗談やめてよっ。 ていうか寝顔にお世辞って変だからっ。
それにほら、花火大会の時にも言ったじゃんっ。 私を誉めたって何も出ないからねっ……!!」

「……あの時 言いそびれたけどさ、俺 本気で可愛いって思ってたからな」

「えっ……?」



ほ、本気で……?

あの時の言葉って、ホンモノだったの……?


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