キミ色の夏
6 キミ色の夏


………

……





翌日。

私は公原家に来て、柚希くんの弟の瑞希くんと一緒に課題を進めていた。



「じゃあ、あのあと二人は本当に何も無かったの?」

「あ、うん……シャワーとお洋服を借りて……そのあとご飯を一緒に食べて、色々なことを話してただけだよ」

「……せめてキスはしようよ。 せっかく俺が二人きりにしてあげたのに」


「そ、そういうのはほらっ、タイミングとかあるじゃんっ……」

「だーかーらぁ、普通は二人きりだったするもんなの。
まったくもう、いい歳してキスのタイミングがわかんないとか、二人とも馬鹿じゃないの?」

「うっ……」



トゲのある瑞希くんの言葉が、グサグサと心臓に突き刺さる。

……昨日あのあと、コンビニに自転車を取りに行った柚希くんは『メシまだだったよな』とお弁当を買ってきてくれて、それを食べながらいつもと同じように二人で話をしていた。

食べ終わったあとはまた色々なことを話しながら笑い、お茶を飲んだりお菓子をつまんだり。


そうやって過ごしてるうちに瑞希くんが帰ってきて、逆に私はそのタイミングで公原家をあとにした。


足がまだ痛む状態だったから、柚希くんの漕ぐ自転車の荷台に乗せてもらって帰宅。


笑顔で手を振って別れて、帰宅後はメールしたり電話したり。

……と、こうやって思い返すと、本当に何も無い。


手を繋いだり、頭を撫でられたりとかはあったけど……それはいつものことと言えば、いつものこと。


瑞希くんが呆れた顔をするのは当然かも……。


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