キミ色の夏


……どうしよう、本気でわかんなくなってきた。



「恋人同士……カップルって、部屋の中では どういうことをして過ごすんだろう……」

「え、そこからのスタート?」

「だって、わかんなくなっちゃったんだもん……」



剛くんと一緒に過ごしてた時のことを思い出すけど、

お互いの家に行ったりというのは1度も無かった。


家での過ごし方……って、何気に初体験……。



「普通に、部屋で まったり過ごしてちゃダメなのかな?」

「いや、ダメじゃないけどさ。 昨日のはほら、せっかく俺が二人きりの時間を作ったんだから、せめてキスはしようよってこと」

「あー……そっか、なんかごめん……」


「うん、そこで謝られるのも普通に困るけどね」



手に持っているシャーペンを器用にクルクルと回す瑞希くん。

そんな彼を見ながら小さく息を吐く。


……キス……なんて、昨日は全然考えてなかったよ。


柚希くんと一緒に居られることが嬉しくて、

一緒に笑っていられることが幸せだった。


それだけでいい。って思ってたけど……瑞希くんが言うように、昨日は『二人きり』だったんだよね。


キス……しとけばよかったかな?

ううん、でも……柚希くんにその意思が無いのに無理矢理するのは、違うもんね……。


……柚希くんは、キスしたいとは思わなかったのかな?

私は、今ならちょっとしたいかも……。


柚希くんにもっともっと近づけるような気がするから、触れたいな……。


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