キミ色の夏
「彼氏にフラれた?」
「……うぅ……グスッ……」
「図星、か」
どんどんと溢れてくる涙。
こんなの、
『はい、フラれました』
って言ってるのと同じ……。
男の人の言う通り、図星だ。
「付き合ってどれくらい?」
「……い、1ヶ月……」
「は? え、何、1ヶ月?」
「はぃ……」
答える必要なんてないと思う。
だけど私は男の人に話していた。
きっと誰かにすがりたかったんだと思う。
『ツラいね』
って、
『元気出してよ』
って、声をかけてもらいたかったのかもしれない……。
「1ヶ月って……そんなんで泣いてたの? ……はぁ、アホらしい」
「……っ……」
でも男の人は、私を慰めてはくれなかった。
呆れた顔だし、同じように声も呆れたもの。
剛くんに対する私の想いも何も知らないで、彼はため息をつくだけだった。
だから私は、そんな男の人の態度にカチンと来てしまって。
「何も知らないのに知ったような口聞かないでよッ!!」
気付いたらその男の人に向かって、大きな声を出した。