キミ色の夏
……私と剛くんは、本当に仲良くやってきた。
確かに付き合い自体は1ヶ月だけだったけど、私は1年の頃から剛くんが好きだった。
大好きだったんだ。
それを馬鹿にするような言い方……何も知らない人に、『アホらしい』なんて言われたくないっ……!!
「ずっと本気だったのっ!! 剛くんを愛していたのっ!!
なのに剛くんにはもう彼女が居てっ……私のことを、汚いゴミを見るような、目でっ……」
そう言いながら、胸がズキンと痛む。
私は本当に大好きだった。
剛くんと一緒の時間が、本当に本当に大好きだった。
でも、
剛くんは違っていた。
……新しい彼女は綺麗で可愛くて、男子たちにモテモテで。
地味な私とは大違い。
私がどんなに頑張って化粧をしたって、どんなに可愛い服を着たって、かなうわけがない。
そんなのわかってるよ。
わかってる。
それでも……剛くんの『好き』って言葉を信じて生きてきた。
剛くんが好きでいてくれるなら、それでいいって思ってた……。
「う……うぅ……もう、死にたい……」
屋上がダメなら、階段から転げ落ちて死のう。
私はもう、生きてる意味なんてない……。
「お前の彼氏、最低だね」
「……え……?」
隣に座っていた男の人が小さく言った。
その直後、
私の頭をポンポンって叩いて……
「俺ならお前を泣かせたりしないよ?」
……って、漫画みたいなセリフを呟いた。