キミ色の夏


凄く優しい顔してる。

2日前の時みたいに、私を見て微笑んでいる……。



「とりあえず、楽しい楽しい夏休みを控えてるんだからさ、死ぬのは夏が終わってからにしなよ」

「え、あの……」

「元カレのことは忘れてパーッと遊びな? ね?」



……何これ、どういうこと?

死ぬのは夏が終わってから、って……そんなの、いつ死のうが私の勝手じゃん。


それに私にとっての夏休みは、

もう楽しいものなんかじゃない。


剛くんが居ない夏休みなんて、そんなの迎えたくないよ……。



「……私は、夏休みなんて迎えたくないから」

「俺が一緒に居るって言っても?」

「はい……?」


「俺が、お前の隣に居てあげる」



……この人が、私の隣に……?

ていうか『居てあげる』って、なんで上から目線なわけ?


だいたい私、この人の名前すら知らないし。

こうやってジッと男の人の顔を見ても、まったくもって見覚え無し。


2日前の時もそうだったけど、ほんと、意味わかんない。


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