キミ色の夏


嘘でしょ……全然覚えてなかった……。

ていうか、部長の顔なんて見てもいなかったよ……。



「す、すみません私っ……全然っ……」

「人が挨拶してるのに、男子と喋ってたもんね」

「うっ……」



4月にパソコン室であった、顧問、副顧問、そして部長からの挨拶。

その時に私は、確かに男子と喋っていた。

その男子っていうのはもちろん剛くん……。


2年生になっての初日だから、



『とりあえず出席しよう』



と剛くんと一緒に出たはいいけど……、

正直、かなりつまらなかった。


顧問の先生の長い長い話のあと、

副顧問の先生の話がこれまた長いこと長いこと。


そしてそのあとに登場した部長も、よくわからない話を長々と喋ってた。



当然、みんなグッタリで飽き飽きしてた。



『どうせ帰宅部なのに』

『何もやらない部なのに』



って、コソコソお喋りをしながらね。

私と剛くんも後ろの方の席で



『早く帰りたいね』



ってお喋りをしていた。

でも、まさかそれを見られていたとは……。


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