キミ色の夏
「で、早速だけど。 彼氏とどんな予定組んでたの?」
「……はい?」
「夏休み。 色々予定立ててたんだろ?」
「あ、えっと……海に行ったり、プールに行ったり、花火大会に行ったり……」
……って、私はまた喋っちゃってるし!!
教えないって決めたばかりだけど、
この人が当たり前のように聞いてくるから思わず答えちゃうんだよね……。
ほんと、調子が狂う。
「海とプールは却下。 でも花火大会には行こう」
「え、あの……公原先輩?」
「柚希でいいよ。 あと敬語も無し。 さっきタメで話してただろ? その時みたいな感じでいいよ」
目の前に置いていたペットボトルを取り、先輩はすぐに飲み始めた。
ゴク、ゴク、ゴク……と、あっという間に中身は空っぽに。
「えと……さっきは先輩だって知りませんでしたし、それに、なんていうか……ついつい、勢いで……」
「じゃあその勢いのまま話して」
……いいのかな。
先輩とタメ口だなんて、今までやったことがないよ。
でも、先輩が『タメで』って言ってるんだし、大丈夫……かな?
よし。
先輩のことを早速 名前で呼んでみよう。
「じゃあ……柚希、さん」
「さん付け禁止」
「……柚希くん」
「まぁ、ギリギリ合格かな」
ふぅ……とりあえず名前を呼ぶのはオッケー。
柚希くん、か……さん付け禁止令が出たから、なんとかこの呼び方で慣れなくちゃ。