キミ色の夏



「あの……柚希くんは水が嫌いなの?」

「ん? あぁいや、人混みが嫌いなんだ。 海とかプールとか、絶対混むじゃん」

「……花火大会の方が混むような気がするけど……」


「花火はいいんだよ、楽しいし」



……海もプールも花火大会も混むけど、花火大会は楽しいから大丈夫……って、

柚希くんにとっては、海とプールは楽しくないってことかな?


暑い中で冷たい水に入るのは楽しいと思うけど……って、

なんで私、柚希くんと出かけること前提で話してるんだろう……。



「柚希くん。 私、一緒に出かけるつもりは……」

「え、じゃあ一人で花火大会に行くの?」

「いやっ、一人ではいかないけどっ……」


「じゃあ一緒に行こう。 色々なお店を回って、いっぱい楽しもうよ。 ね?」



ドキリ、と心臓が鳴る。


また、柚希くんに頭を撫でられた。

さっきも撫でられたのに、さっきよりもずっとずっとドキドキしてる……。


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