キミ色の夏


「あ、男の子も浴衣……」



浴衣を着た同い年くらいの男の子が、浴衣を着てる女の子と手を繋ぎながら駅に入っていった。

わぁ……カップルで浴衣って、なんか素敵……。



「……柚希くんも浴衣で来たりして……?」



女の子が浴衣で、男の子は洋服。 っていうのは全然アリだよね。

でも、

男の子が浴衣で、女の子は洋服。 っていうのは、ナシな気がする……。



「やっぱり浴衣にすればよかったかな……」



……まぁ、浴衣なんて持ってないし、どういうデザインの物がいいのかも わかんないけど……。






「あれっ、柳井早くないっ!?」



ふと、聞き覚えのある声がした。

その声のした方を見ると、驚いた顔で駆けてくる柚希くんが。



「柚希くんっ」

「どうした、まだ30分前だよ?」

「あ、なんか……暇だったから早く家を出たの」


「そっか、俺も同じ。 なんか俺が遅刻したみたいで恥ずかしいなっ。 なに、だいぶ待った?」

「ううん、私も今 来たところだよ」



そんな風に話しながら、柚希くんの格好を見る。


柚希くんは黒い7分袖のシャツにジーンズ、スニーカーというシンプルな格好で、

首元にはキラリと光るネックレスが。


シンプルな服なのに、なんだか凄く似合っててカッコイイ……。


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