キミ色の夏
「柳井、切符は俺が買うから飲み物買っといて」
「え、でも……」
「その方が効率いいだろ。 俺、いつものやつな」
ニッと笑った柚希くんが、私を切符売り場の列から追い出した。
……強引だなぁ。
でも確かに別々に買い物をした方が効率がいい。
駅構内にある売店も、花火大会に行くだろうお客さんで溢れてる。
レジもかなり混んでるから、さっさと行って並んだ方がいいみたい。
「じゃあ売店で買ってくるねっ」
「オッケー、切符買ったらそっち行くから」
「うんっ」
手を振りながら別れ、私は急いで売店へ。
……って、『いつものやつ』?
それってあのブルーのラベルのスポーツドリンクでいいのかな?
『いつものやつ』って言われても、私と柚希くんが直接会ったのは2日間だけ……。
あのあとはメールでやり取りをしてたけど、直接は会っていなかった。
でも、2分の2の確率であのスポーツドリンクだったんだから、きっと大丈夫だよね。
よし、あのペットボトルを買おうっ。
「私は……レモンティーにしようかな」
好きなメーカーのやつじゃないけど、他に飲みたい物も無かったからレモンティーを選んだ。
混雑するレジに並んで、順番が来るのを待つ。
チラリと切符売り場の方を見たら、ちょうど柚希くんが切符を買い終わってこっちに歩いてくるところだった。