キミ色の夏
そんな彼と目を合わせたままなんて、恥ずかしすぎる……。
「次の方どうぞー」
「あっ、はいっ」
レジの人に呼ばれて、慌てて前へと進む。
飲み物だけだからすぐに料金が表示されて、小銭が無かった私は千円札で支払うことに。
小さい袋に入れられたペットボトルを受け取り、すぐにお釣りとレシートも受け取った。
「ありがとうございましたぁー」
レジの人の明るく元気な声を背中に受けながら、急いで柚希くんのところへと向かう。
「ごめん、お待たせっ」
「ううん、今 来たとこ。 って1回言ってみたかったんだー」
「ふふっ……私はさっき言っちゃったけどね」
「あ、そういえばそうだなっ。 先越されたわっ」
けらけらと楽しそうに笑う柚希くん。
その顔を見ていると私も自然と笑顔になって、心の中があったかい気持ちで満たされていく。
「よし、じゃあ行こうぜっ」
「うんっ」
改札へと向かって歩き出す柚希くんの隣に並び、私も歩き出した。