キミ色の夏


一緒に過ごしてた時のこと、二人で笑い合った時間、楽しかった思い出の数々……。

そして、昇降口で見た冷たい視線。


色々なことを思い出して、胸が苦しくなる。



「……ごめん、さっきの嘘。 まだ平気じゃないや」

「うん」

「初めて付き合った人だから……やっぱりすぐには忘れられないね……」



みんなと一緒に笑い合ってる時は忘れている。

でも名前を聞いたらすぐに思い出すし、胸が痛くなる。


別れてから結構経つのに、ほんっとに私ってば、馬鹿だな……。



「……剛くんは、彼女と来てたの……?」

「みたいだね。 なんか、モデルさんみたいな子と一緒だったよ」

「……そっか」



モデルさんみたいな子。

その子はきっと剛くんと同じクラスのあの子……剛くんの今の彼女だ。


名前は神村 樹里(カミムラ ジュリ)……だったかな。

同じクラスになったことがないから うろ覚えだけど、確かそんな名前だったと思う。

神村さんはキラキラと輝いていて、本当に素敵な子。


私も神村さんみたいに可愛かったらいいのにな……。


もしも私が神村さんみたいな女の子だったら、

きっと今でも剛くんと付き合ってたと思うから……。


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