キミ色の夏
4 キミと私と彼
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花火大会の数日後、私は図書館に来ていた。
「一緒に居るのが兄貴じゃなくて、ちょっと寂しい?」
小声でそう言って微笑んだのは、
柚希くんの弟の瑞希くん。
今日私は、瑞希くんと一緒に夏休みの課題をやるために図書館に来ていた。
花火大会の時にすっかり仲良くなり、私たちはその日に連絡先を交換した。
メールで色々と話してるうちに、
通ってる高校は違うけど課題の内容はほとんど一緒だということがわかった。
だからこそ、今日私たちは一緒に居る。
「柚希くんはアルバイトがあるんだから、仕方ないよ」
そう言いながら、私は数学の課題プリントを解いていく。
柚希くんは今、家庭教師のアルバイトの真っ最中。
夏の間だけ近所の小学生たちに勉強を教えてるらしい。
アルバイト……と言いつつ、ほぼ無償で引き受けてるみたい。
お茶やお菓子はご馳走になるって言ってたけどね。
ほぼ無償で引き受けている、その理由は……、
『勉強が好きだから』
……らしい。
柚希くん本人に聞いたわけじゃないけど、
瑞希くん曰く『兄貴は学年トップクラスの成績だよ』とのこと。
勉強が嫌いで成績も平凡な私とは大違い。
……で、隣に座ってる瑞希くんもまた頭がいい。
本人は『普通だよ』って言うけど、
この人、私の2倍は速く数学の問題を解いてるからね。
英語のプリントなんてもっと速いしっ。
……ほんの少しでいいから、その頭のよさをわけてもらいたいよ……。