キミ色の夏
♪~♪~♪~
「……っ……」
ズボンのポケットに入れていた携帯がメロディーを奏でる。
電話……今の今まで話題に出てた柚希くんからだ。
「も、もしもしっ……」
『予定より早く終わった。 あと5分くらいで図書館着くけど、まだ居る?』
「あっ……ご飯食べようと思って、ファミレス向かってたとこ……」
『そっか、じゃあ俺もファミレス行くから先入っといて』
「う、うんっ……」
ピッ と、電話はすぐに切れた。
そして ふと横を見たら、瑞希くんがニヤリと笑ってる……。
「じゃあ俺、退散するから」
「えっ……!!」
「兄貴とメシ食べなよ。 そのあと、兄貴と課題頑張って」
「瑞希くんっ!?」
「じゃ、またねー」
ひらひらと手を振った瑞希くんは、
あっという間に駆けて行ってしまった。
「ど、どうしよう……」
ファミレスの目の前で、一人きりだ……。