キミ色の夏


……とりあえず、ここで柚希くんを待とう。

先に入っててって言われたけど、5分くらいなら外で待ってた方がいい。

というか、一人でファミレスに入る勇気が無い……。



「……本当に、どうしよう……」



突然のことで頭が混乱してる。


柚希くんは私が好き?

友達以上に好き?


……もしも本当にそうだったら、どんな顔をして会えばいいんだろう……。



「……すっごくドキドキしてきた」



トキメキとかじゃなくて、緊張でのドキドキ。

むしろドキドキして苦しい。


……深呼吸しよう。

うん、深呼吸……深呼吸……。






「あ」



……え?

『あ』?



「……っ……!!」






……声のした方に視線を向けた時、ハッと息を呑む。

そこに居たのは、杉田 剛くん。


……私の元・彼氏……。



「……」

「……」



目と目が合ったまま、お互いの動きが固まっている。


さっきとは違った緊張で胸が痛くなって、苦しくなって、

背中からはサーッと冷たい汗が流れ始めた。


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