キミ色の夏


「うぅ……こんなの、ひどい……ひどいよ剛くん……」



初めて一緒に過ごす夏休みを、

私はずっとずっと楽しみにしていた。


剛くんと一緒に過ごして、

隣に剛くんが居ることが当たり前だって思っていたのに……。



「ぐすっ……ぐすんっ……」



拭っても拭っても、涙が溢れ出してきて止まらない。

だから私は、そのまましばらく体育館裏に居ることにした。


今はまだ通学路が人で溢れ返ってる時間。


そんなところを泣きながら歩くなんて出来ないし、

知ってる人に会いたくない……そんなの絶対にイヤ……。


だからしばらく一人で居よう。って、思ったんだけど……、



「……剛くん…うぅ……」



……頭の中に浮かぶのは、剛くんと過ごしてきた楽しい日々。

昨日だって手を繋いで帰ったし、キスもした。


ううん、今日だって……朝は笑顔で



『おはよう』



って挨拶して、昼休みには



『今日も一緒に帰ろうな』



って、言われていたのに……。



なのに、どうして?

どうして突然こうなってしまったの……?


相応しくないって何?

私はずっと、剛くんと居たいって思ってるのに……。


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