キミ色の夏
と、その時。
携帯が震えてメールの受信を知らせた。
……もしかして柚希くんから?
そう思ったけれど、それは別人からのメールだった。
「剛……くん……」
今までずっと、電話帳から消せなかった名前……。
メールの送り主には【杉田 剛】と確かに記されていた。
【話したいことがあるから、ファミレス近くの公園で待ってる。】
……話……?
もしかして中学時代のことを話すつもり?
それとも、何か別のこと……?
♪~♪~♪~
「……っ……」
今度は電話……もちろんそれは剛くんから……。
「……もしもし」
『トッコ、体調はどう? もう平気?』
「うん……大丈夫」
『そっか、よかった』
電話をかけてきた剛くんは、安心したような声だ。
……付き合ってた頃と同じ優しい声……。
でもこれは偽り?
それとも、ホンモノ……?
『今メール送ったんだけど、どうしても話したいことがあるんだ』
「電話じゃ、ダメなの……?」
『会って直接話したい。 今どこ? まだ公原先輩の家?』
「うん……まだ柚希くんの家だよ」
『じゃあ今すぐ家を出て俺のところに来て。 公原先輩のところに長居しちゃダメだ』
「……え?」
長居しちゃダメ、って……いったい何故……?