キミ色の夏


『あの人はトッコが思ってるような人じゃないよ』

「……待って、全然 意味がわからないんだけど……」

『会ったらちゃんと話す。 公原先輩のことについて言わなきゃいけないことがあるんだ』


「……」

『凄く大事な話なんだよ。 だから頼む』



真剣な声。

それを最後に電話は切れてしまった。



「……柚希くんは、私が思ってるような人じゃない……?」



それってどういうことなの?

意味がわからない。


ていうか、

違っていたのは剛くんだよね……。


ずっと私に真実を隠してた人が、今更 私に何を言おうっていうの……?

それとも……柚希くんが言ってたように、剛くんは本当に私のことを……?


中学の時とは心を入れ替えたってこと?



「……わからない」



わからないけど、でも……きっと行った方がいいんだと思う。


だって剛くんの声は真剣だった。

『大事な話』だからこそ、あんなに真剣な声だったんだ。


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