キミ色の夏
「俺、トッコと一緒に居たいんだ」
「剛くん……?」
「なぁ、俺たちやり直せないか? 俺、もうお前から離れたくないんだよ」
耳元で聞こえる熱い言葉。
抱きしめる力が強くて少しだけ苦しいけれど、
それでも剛くんは私を抱きしめ続けていた。
……剛くんの言葉はホンモノなのかな?
私のことを、好きでいてくれてるのかな……?
でも、ちゃんと聞かなくちゃ……。
「……剛くん」
そっと、彼の体を後ろに押す。
体と体の間に僅かなスペースが出来たところで、
私は剛くんの顔を真っ直ぐに見つめた。
「……私、中学時代の話を柚希くんに聞いたの」
「……」
「ねぇ、色々な子と付き合ってたってほんと? 柚希くんや瑞希くんの彼女のこと……それに他の人の彼女を奪ったという話も、本当……?」
それでも今は、私だけを見てくれているの……?
それとも、剛くんは中学の時から変わっていないの……?
「何言ってんだよ、人の彼女を奪ったのは公原先輩だろ」
「……え?」
「俺の彼女や、瑞希の彼女……色々な人の彼女を奪ってたのはあの人だぞ?」
柚希くんが……彼女を奪っていた……?