キミ色の夏


「アイツに騙されるなよ。 アイツと居ると不幸になるって言っただろ?」

「でも瑞希くんは……剛くんに、って……」

「はぁ? 瑞希の奴なに言ってんだ? ……まさかアイツらグルなのか?」


「……」

「トッコ、俺の言葉だけ信じろよ。 アイツらの言葉なんか聞くなっ」




いったい、どうなってるの……。

柚希くんと瑞希くんが言ってたことが嘘で、剛くんの言葉がホンモノ……?

それとも、剛くんが嘘を……?



「俺がアイツらからお前を守ってやる。 だからもう、俺から離れるなよ」



また、剛くんに引き寄せられる。


……剛くんは凄く力強くて、頼もしくて、心の底から私を守ってくれようとしている。

剛くんの言葉がホンモノ……?



「……本当に、柚希くんが剛くんの彼女を……?」

「あぁ、そうだよ」

「……」


「甘いこと言ってお前のことをグチャグチャにするつもりなんだ。
アイツと一緒に居たら、お前は本当に不幸になっちまうんだよ」



柚希くんと一緒に居たら、不幸になる……。

私は、柚希くんと一緒に居たらダメ……?


正しいのは剛くん、だけ……?






「俺のそばに居ろよ、トッコ」



あごが引き上げられて、

剛くんの顔がゆっくりと近づいてくる。



私、剛くんにキスされる。

付き合ってた頃と同じように、また……。


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