キミ色の夏


上から目線で、この人なに言ってるの? って感じだったけど。

でも、

柚希くんは ちゃんと私のそばに居てくれた。


私のそばで、笑ってくれていた。



「……私と柚希くん、一緒に花火大会に行ったの」



ジリジリと肌を焦がす太陽の下で、生ぬるい風を受けながら言う。


真っ直ぐに。

剛くんの瞳を見つめながら、ただた真っ直ぐに。



「駅で待ち合わせをして、二人で電車に乗って、手を繋ぎながら降りたけど、でも はぐれてしまって……。
携帯は繋がらなくて、一人で凄く怖くて、私は泣きそうになっていたけれど……柚希くんは、ちゃんと来てくれたの」



あの時 柚希くんは、



『離れちゃってごめん』



って、凄く真剣な顔で言った。


私と離れてしまったことを後悔して、私が泣きそうになっていたのを見て、

柚希くんは凄く凄く苦しそうな顔してた。


本当に本当に、私のことを想ってくれていた。


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