一途な彼と不器用彼女①
*蒼依の夢side*


私は気づくと真っ暗の空間の中にいた。


さっきまでいた陸はいなくて。


そして私はひたすら歩く。


歩いて歩いて...ひたすらただ真っ暗の道を歩いた。


すると一部だけ明るい場所があった。


私はそこに向かって歩いてみた。


いや、正直言ってこの空間は嫌いだ。


誰もいなくて...何かが迫ってきそうな空間。


この空間が嫌だったから私はひたすらその光に向かって歩いた。


その光に向かったら何か気が楽になる。


そう思っていた。


光がだんだん近づいてきたかと思うと急に周りががらりと変わった。


今度はたくさん人がいる。


その中には幼い少女...いや妊娠している少女がいる。


妊娠9ヶ月ぐらいだろうか？


その少女は不安そうにただひたすら前を見つめている。


ただ私は瞬時に感じた。



...私はこの夢は見てはいけない...



っと私は瞬時に感じた。


でも夢は面白いことに見たくないところも見せられる。


見たくもない夢でも目は覚めてはくれない。


それはまるで映画のように。


誰か１人が上演中に「面白くない。やめろ」と言っても映画は終わりが来るまで終わらない。


逆におもしろい映画なら“もっとみたい”そう思っても終わりまで来れば終わってしまう。



...だから私は今日この夢で真実を知ってしまったんだ...


< 210 / 356 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop